Ethereumは、世界で最も人気のあるスマートコントラクトプラットフォームです。しかし、Ethereumは現在、トランザクションの処理速度やコスト、スケーラビリティなどの課題に直面しています。そこで、Ethereumはさまざまな改善策を実施しています。その中のひとつが、Dencunアップグレードです。
Dencunアップグレードとは、Ethereumのネットワークにおける重要な変更のことです。このアップグレードは、2024年3月13日に実施される予定です。Dencunアップグレードには、いくつかのEthereum改善提案(EIP)が含まれていますが、その中でも注目されているのが、proto-dankshardingという機能です。
proto-dankshardingとは何か?
proto-dankshardingとは、Ethereumのレイヤー2におけるトランザクションのコストを大幅に削減するための機能です。レイヤー2とは、Ethereumのメインネットワーク(レイヤー1)の上に構築された、補助的なネットワークのことです。レイヤー2では、メインネットワークよりも高速かつ安価にトランザクションを処理することができます。しかし、レイヤー2では、メインネットワークにデータを保存するために、一定のコストがかかります。これをデータ可用性のコストと呼びます。
proto-dankshardingは、データ可用性のコストを下げるために、blobという新しいデータのカテゴリーを導入します。blobとは、大量のオフチェーンデータを一時的に保存し、Ethereumのノードがアクセスできるようにするものです。blobは、Ethereumのブロックに追加される新しいトランザクションクラスの一種です。blobによって、レイヤー2のデータをメインネットワークに効率的に保存することができます。
proto-dankshardingのメリットは何か?
proto-dankshardingのメリットは、レイヤー2のトランザクションのコストを大幅に低減することです。proto-dankshardingによって、レイヤー2のデータをメインネットワークに保存する際に必要なガス(Ethereumの手数料単位)が、約10分の1になると予想されています。これによって、レイヤー2のユーザーや開発者は、より安く、より多くのトランザクションを行うことができます。
proto-dankshardingは、特にロールアップと呼ばれるレイヤー2の技術にとって有利です。ロールアップとは、メインネットワークにデータを保存しながら、オフチェーンでトランザクションを集約して処理する技術です。ロールアップは、現在、Ethereumのスケーラビリティの解決策として最も注目されている技術のひとつです。proto-dankshardingによって、ロールアップのデータ可用性のコストが下がり、ロールアップの性能が向上します。
まとめ
EthereumのDencunアップグレードは、2024年3月13日に実施される予定です。このアップグレードには、proto-dankshardingという機能が含まれています。proto-dankshardingは、blobという新しいデータのカテゴリーを導入することで、レイヤー2のトランザクションのコストを大幅に削減することを目指しています。proto-dankshardingは、特にロールアップというレイヤー2の技術にとって有益です。proto-dankshardingは、Ethereumのスケーラビリティとユーザビリティを向上させるための重要な一歩です。
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- Ethereum:スマートコントラクトを実行できる分散型プラットフォーム
- Dencunアップグレード:Ethereumのネットワークにおける重要な変更
- proto-danksharding:レイヤー2のトランザクションのコストを削減するための機能
- blob:大量のオフチェーンデータを一時的に保存するデータのカテゴリー
- レイヤー2:Ethereumのメインネットワークの上に構築された補助的なネットワーク
- ロールアップ:メインネットワークにデータを保存しながら、オフチェーンでトランザクションを集約して処理するレイヤー2の技術
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