本記事は2026年7月12日時点の一次情報(Pi Network公式ブログ/公式サイト/pi-node公式GitHub/Docker公式ドキュメント/Stellar公式ドキュメント)に基づいて検証・執筆しています。どこまでが公式発表による確定した事実で、どこからがノードコミュニティの実践に基づくノウハウなのかを、スムーズかつ正確に区別しながら解説します。
ブロックチェーン技術と人工知能(AI)の融合は、次世代のウェブインフラストラクチャにおける最も重要なテーマの一つとして浮上しています。暗号資産プロジェクトの多くが市場での投機的な側面に注目を集める中、Pi Networkは実用的なユースケースの創出に向けた確実な転換を図っています。その象徴となるのが、2026年6月28日の「Pi2Day 2026」で正式発表されたインフラ基盤と、その直後から配布が始まったPi Node(Pi Desktop)バージョン0.6.0 / 0.6.1です。個人のコンピュータを単なるトランザクションの承認マシンから、高度なAIモデルを稼働させる分散型コンピューティングの拠点へと変貌させるこのアップデートの意味を、深く紐解いていきましょう。
1. システム展開のタイムラインと現在のステータス
一連の新機能を含むバージョン0.6.x系の展開について、製品ビジョンそのものは公式ブログにて大々的に発表されています。システムの統合タイミングや、外部リリースの時系列を辿ることで、現在のステータスがより明確になります。
| 日付 | できごと | ソース区分 |
|---|---|---|
| 2026/4/8 | Testnet RPCサーバーを公式リリース(rpc.testnet.minepi.com)。メインネットをProtocol 20へ、その後Protocol 21へ順次アップグレードと発表 |
公式Piブログ |
| 2026/6/28 | Pi2Day 2026。SoloHost(早期ベータ)/Pi Sign-in/PiVerify の3製品を正式発表。SoloHost上の一例としてローカルAI(Hermes)に言及 | 公式Piブログ |
| 2026/6/29 | Pi Node 0.6.0 がGitHubで公開(リリースノートは「Updates」の一行のみ) | 公式GitHub Releases |
| 2026/7/8 | Pi Node 0.6.1 が公開(Latest) | 公式GitHub Releases |
| 2026/7/12現在 | 公式サイト minepi.com/pi-node の表記は「Latest version: 0.6.0」のまま。ダウンロードボタンも0.6.0を指す |
要注意公式サイト |
【ノード稼働における最も優先すべき確認事項】
公式のPi Nodeダウンロードページの冒頭には、現在次のような重要な告知が掲示されています ──「Piメインネットのブロックチェーンプロトコルはアップグレード中。すべてのメインネットノードは v25 へアップグレードしなければならない」。新バージョンのAI機能だけでなく、インフラとしての健全な同期を維持するため、手動アップデートを行う際はこのシステム同期のプロトコルバージョンに細心の注意を払ってください。
2. 新UIと「Soroban RPC」が担うスマートコントラクトの窓口
ソフトウェアを起動してまず目を引くのは、従来の簡素な画面からプロフェッショナル仕様へと変貌を遂げた新しいダッシュボードです。「Pi App Studio」「Discover SoloHost Apps」「Remote Access」といった新しいメニューが統合され、ノードはエコシステム全体のハブとして再設計されました。なお、メニュー内の表記は「SoloHost(ソロホスト)」です。「Solo(単独のPCで)」+「Host(アプリを稼働させる)」という、分散型ネットワークの思想を表した名称となっています。

見た目の変化以上に重要なのが、トラブルシューティング画面の最下部に新設された「Run the optional blockchain API service (Soroban RPC)」のトグルスイッチです。これはStellar由来のコードベースに含まれるスマートコントラクト実行環境(WASMベース)のRPC(Remote Procedure Call)インターフェースであり、Pi Networkのフォーク元であるStellar Coreとの親和性を保ちながら、システム深層のAPIサービスを司っています。

このサービスは、内部的な通信にポート 8003 を使用します。これにより、外部の金融アプリ(DeFi)や分散型アプリ(dApps)がPiのブロックチェーンと直接対話するための窓口として機能します。世界中のPioneerが提供する計算能力とストレージが、次世代インターネットのバックボーンとして活用され始めているのです。
システムストレージ要件の真実:公式基準と運営者の推奨
「RPCサービスを安定稼働させるには、どれくらいのストレージを用意すればよいのか」という疑問は、ノード運営者にとって非常に現実的な論点です。この点について、公式な仕様と、実際の運用に根ざした推奨環境を整理します。
Stellar公式の管理ガイドによれば、Stellar RPC がローカルに保持するトランザクション履歴は、既定で「直近7日間」のローリングウィンドウのみであり、それより古いデータは自動的にプルーニング(削除)される仕組みになっています。そのため、最も信頼性の高いフォーク元の最小システム要件は以下のようになります。
| システム項目 | Stellar RPC の最小要件(公式技術ガイドより) |
|---|---|
| CPU | 4〜8 vCPU |
| システムメモリ(RAM) | 16GB |
| ディスクドライブ | 350GB の永続ボリューム(3,000 IOPS以上)/ローカルSSDを強く推奨 |
| 前提条件 | 既定の7日間データ保持/秒間100リクエスト程度の通信負荷 |
| データ増加ペース | 履歴保持期間を1日延長するごとに +40GB |
出典:Stellar Developers Docs「RPC Admin Guide / Prerequisites」
上記の通り、公式な最小要件としてのディスク割当目安は350GBですが、実際のPC環境では ①Pi Node本体の同期データ + ②Soroban RPC用の領域 + ③SoloHost経由のAIモデルデータ(数GB〜数十GB) + ④Windows OSとDocker本体 を同一のドライブに同居させる必要があります。これらを考慮すると、SSDの空き容量に十分なゆとりが必要となるため、「将来的なデータ肥大化と安定稼働を見据えた、運営者たちの実践的な推奨値として大容量(1TB程度)のSSDが望ましい」というのが解釈があります。
3. SoloHost ── 自律型アプリを自分のPCで動かす仕組み
分散型ネットワークの真の価値は、巨大なデータセンターの計算資源に依存するのではなく、世界中に散らばる無数の個人デバイスを活用して自律的な処理網を構築する点にあります。Pi Desktop上で展開されるSoloHostは、まさにこの理念を体現するオープンフレームワークです。
- パーミッションレス(許可不要)の公開フロー:Piアカウントを持つ開発者であれば、誰でもSoloHostアプリを提出・配信できます。フォーマットの自動構造チェックはありますが、事前審査プロセスがないため、アプリの安全性や実用性はユーザーが自己の判断で評価し、自己責任でインストールを決定する形式をとっています。
- 世界42万台超の分散リソース:すでに稼働している42万以上のPioneerのノードPCが、そのままアプリケーションの稼働ベースとなります。
- 分散コンピューティングの段階的展開:まずは上位およそ100ノードの優良な運営者を対象に、外部クライアントのAIタスクなどのコンピューティング処理を実行してPiトークンで報酬を受け取ることができるアプリが公開予定となっています。
- 現在は早期ベータ段階:段階的に提供される早期ベータの段階であり、今後のロードマップに応じて順次機能が拡張されます。
4. 話題のローカルAI「Hermes(ヘルメス)」の統合
SoloHost上で動く代表的なアプリケーションとして、現在「Hermes」というローカルAIエージェントが注目を集めています。多くの方が抱く疑問は、「なぜPiのノードにHermesが関係しているのか」という点ではないでしょうか。
実は、HermesはPi Networkの専用ツールではありません。AI開発を牽引する著名なオープンソースコミュニティである「Nous Research」が開発し、世界中の開発者の間で絶大な支持を得ている「自律型AIエージェント」の独立したフレームワークです。ChatGPTのような対話型AIを外部の巨大IT企業のサーバーに頼らず、個人のコンピュータ内だけで完全オフライン稼働させるための仕組みです。
この世界的なオープンソースAIの資産が、今回Pi Nodeの分散型インフラである「SoloHost」の基盤を介して統合(コラボレーション)された形となります。個人情報や入力データを外部ネットワークに送信せず、すべて手元の環境で安全に処理できるプライバシーファーストなアプローチが、ノードの仕組みを借りて実現したのです。
なお、この高度なローカルAIをノード環境でシームレスに稼働させるためのエンジンとなるのが、Docker Desktopに新しく統合された「Docker Model Runner」です。複雑な環境構築や依存関係の解決を意識することなく、大規模言語モデル(LLM)などのAIモデルをコンテナとして簡単に実行することを可能にします。SoloHost上でHermesのようなAIアプリを完全にローカル完結させるためには、この技術的な基盤が不可欠となります。
5. Remote Accessの実像 ── 認証を担っているのは「Pi Sign-in」
構築された高度なローカルAI環境は、手元のスマートフォンなどからセキュアに遠隔操作することで、その実用性を最大限に発揮します。ダッシュボードに搭載された「Remote Access」機能は、PC上のノードとモバイルデバイスを安全に結びつけます。
公式発表を確認すると、このセキュアなモバイル連携を可能にしている認証システムは、同時に発表された「Pi Sign-in」であることが明記されています。Pi Sign-inは、Piアカウントによる分散型認証システムであり、いわば「Pi Networkログイン」の役割を果たします。
遠隔アクセス認証の流れ
- PC側(Pi Desktop)でSoloHostアプリをアクティブにします。
- スマートフォンのPi Browser内から「SoloHost」のウェブアプリ版にアクセスします。
- 画面に表示されるQRコードの読み取り、またはモバイルからPi Browserへの直接的な遷移を行います。
- Pi Sign-inの認証により、「そのスマートフォンを操作しているのが、ノードPCを所有する本人である」ことが安全に証明され、他者のアクセスを遮断した状態でローカルアプリの画面が同期されます。
通常であれば専門的なネットワーク設定や暗号キーの作成、外部に向けたポートの開放といった高度な手間が必要となる遠隔アクセスを、Piの認証機能が肩代わりしてくれる利便性の高い仕組みになっています。
6. 3重の負荷を支えるPC推奨スペック目安
実際に1台のPCでノード本体、Soroban RPC、そしてローカルAI(推論)の3つの負荷を同時に動かす場合、それぞれのプロセスがメモリとCPU、ストレージを同時に消費し合います。ノード自体の安定稼働に影響を与えず、AIの処理を快適に行うための、システム要件の目安をまとめました。
大規模言語モデル(LLM):モデルサイズ別・必要メモリの目安
手元のPCで動かしたいLLMのパラメータ規模(サイズ)によって、消費されるシステムメモリは変化します。一般的に利用される「4bit量子化版」を基準にした実測値は以下の通りです。
| AIモデルの規模 | Q4量子化時の必要メモリ | 実際の使用における実用性目安 |
|---|---|---|
| 1B クラス | 約 1.5GB〜2.5GB | 動作自体は軽量ですが、指示に従う高度な推論(AIエージェントとしての自律的なツール呼び出しなど)には能力不足を感じることが多いです。 |
| 3B クラス | 約 3GB〜5GB | 簡単な質問への回答や文章要約であれば実用的です。省電力PCやミニPCにおける現実的な上限となります。 |
| 7〜8B クラス | 約 7GB〜10GB(文脈の読み込み量による) | ローカルAIエージェントとして実用的に機能するスタートラインです。まずはこのサイズを快適に動かすことを目標にします。 |
| 14B クラス | 約 12GB〜15GB | 回答の知性が明確に向上します。このクラスからGPU VRAM(グラフィックカード専用メモリ)の容量が必須になってきます。 |
処理を実行した際の「推論速度(体感)」の比較
- CPUのみで処理する場合(8コア級・一般的なDDR4/DDR5メモリ):7〜8Bクラスのモデルを動かすと、出力速度はおよそ毎秒 4〜10トークンです。「文字がゆっくり表示されるのを読める」程度の速度ですが、AIが何度も自律的に思考するエージェント運用では、待ち時間が長くなります。
- NVIDIA製GPUを使用する場合(VRAM 8〜12GB、RTX 3060 / 4060等):同じ7〜8BクラスモデルをGPUに処理させると、速度は毎秒 40〜70トークンに跳ね上がります。流れるように文章が出力され、ストレスは一切感じなくなります。
- Apple Silicon機(MacBook等・ユニファイドメモリ):独自のメモリ構造により、CPUベースながら非常に高速な処理が可能です。Mシリーズのシステムメモリ16GB以上のモデルであれば、7〜8Bクラスが実用的に動作します。
管理人のPCで満足に動かせるのは7Bクラスです。でもあまりローカルAIを動かすには興味がないので支障はないです。
目的別のハードウェア構成・推奨スペック早見表
| 目的・やりたい内容 | CPU推奨要件 | システムメモリ(RAM) | ストレージ(SSD) | グラフィックボード(GPU) |
|---|---|---|---|---|
| A. ノード本体のみの稼働 | 4コア以上 | 8GB以上 | SATA SSD 256GB〜 (将来的な空き容量に備えます) |
不要(CPU内蔵で可) |
| B. ノード+Soroban RPCの稼働 | 6コア〜8コア | 16GB以上 | 高速NVMe SSD 500GB〜1TB (Stellar公式要件の350GB確保を前提とします) |
不要 |
| C. ノード+RPC+ローカルAI(7B/8B) ※本システムの実質的な推奨要件 |
8コア以上 | 32GB (ノード用に12GB、AIに8〜12GB、OSやシステム維持に余力を残します) |
高速NVMe SSD 1TB | VRAM 8GB以上のグラフィックボードを推奨 (CPUだけでも動きますが、速度差は10倍に及びます) |
ミニPCや超小型省電力サーバーでノードを回している方へ:GPUを物理的に追加できない筐体の場合、7〜8Bの量子化モデルの実行がシステム的な限界点と考えてください。それ以上の規模のAIを稼働させると、推論処理を行うたびにCPU使用率が100%に張り付き、Pi Node側の通信応答の悪化や同期遅れ、ひいてはポート応答失敗の原因になります。ノード自体の健全な稼働を最優先に考え、AIモデルは1段階小さなものに落とすのが安定運用の秘訣です。
運用に役立つ実務Tips:Dockerに割り当てるメモリの上限を制限する
WindowsのWSL2環境でDockerを動かしている場合、意図しないリソースの暴走を防ぐために、あらかじめメモリとプロセッサの上限を絞っておく設定が推奨されます。C:\Users\<ご自身のユーザー名>\.wslconfig ファイルを開き(存在しない場合はテキストドキュメントとして新規作成)、以下のように記述して保存してください。
[wsl2]
memory=16GB # Dockerが使用して良い最大メモリを明示的に指定
processors=8 # 割り当てる最大CPUスレッド数
swap=8GB # スワップ領域の確保サイズ
ファイルを編集・保存した後、 Power Shell等のターミナルを起動し、wsl --shutdown コマンドを実行してWSL2を一度完全に終了させます。その後Docker Desktopを起動すれば、割り当て制限が適用された状態で動作します。(macOSやLinuxの環境では、Docker Desktopの Settings → Resources からGUIで同じ調整ができます)
7. Docker Desktopの設定手順とポート開放の再確認
SoloHostの配信アプリ、特に各種ローカルAIをコンテナの形で呼び出して実行するためのインフラとなる心臓部が Docker Model Runner(DMR) です。これが機能していなければ、AIコンテナの起動は行えません。現行の最新のDocker Desktopにおいては、Settings内に「AI」という独立したメニューが設置されていますので、以下の手順で有効化を行います。(自己責任でお願いします。)
手順①:Docker Desktop の画面(GUI)で有効にする
- Docker Desktopを起動し、ダッシュボードの右上にある「歯車マーク(Settings)」アイコンをクリックします。
- 左側に表示されるメニュー一覧から、「AI」の項目をクリックします。
- 画面内に表示される 「Enable Docker Model Runner」 のチェックボックスをオン(有効)にします。
- Windows環境でグラフィックボード(NVIDIA)を搭載している場合:オンにすると、その下に 「Enable GPU-backed inference(GPUによる推論処理の加速化)」 という項目が追加で現れます。ここも必ずチェックを入れて有効化してください。忘れてしまうと、高性能なグラフィックボードを積んでいてもCPUによる低速な処理しか行われません。
- 最後に、右下にある「Apply & Restart」ボタンをクリックして、Dockerシステムを再起動します。
設定が正常に機能すると、Docker Desktopのダッシュボード左側のメニューに「Models」という項目が出現します。これが表示されるようになったかどうかが、設定成功を判断する最も簡単なポイントです。
手順②:コマンドライン(CLI)で動作状況を確認する
確実にModel Runnerが機能しているか確認したい場合は、以下のコマンドを使用します。コマンドプロンプトやPowerShell等で1行ずつ実行してください。
# Model Runner 機能の有効化が反映されているか、バージョンを表示させて検証
docker desktop enable model-runner
# 正しくレスポンスが返ってくるか確認
docker model version
# テスト用に、非常に容量の小さい軽量モデルをダウンロード(動作テスト用)
docker model pull ai/smollm2
# ダウンロードした軽量モデルを対話形式で起動して検証
docker model run ai/smollm2
# ローカルに保存されているAIモデルの一覧を確認
docker model ls
ポート開放の再チェック
DockerやPi Desktop本体を新しく更新した直後は、これまで正常だったポート(31400〜31409)が一時的に「失敗」になる不具合が見られることがあります。システムが更新された後は、必ず一度トラブルシューティング画面から 「Check Now」 を押して、すべての通信が問題なく緑色のチェックマークに戻るかを再テストしてください。ルーターのポート転送を設定する際は、31400から31409の全レンジが一対一で確実にPCへ転送されているかを再度ご確認ください。
インフラを守るための運用鉄則
意図しないシステムの停止や通信障害を防ぐための予防策は、継続的なインフラ運営において極めて重要です。Docker Desktop側で追加の調整を行いましょう。
- 自動更新(Software updates)の停止:Docker Desktopの設定画面から自動ダウンロードおよび自動更新は無効化することを強くお勧めします。ノードの運用やブロックチェーンデータの処理中にバックグラウンドで自動的にDockerシステムが更新・強制再起動されると、コンセンサスの同期がクラッシュしたり、実行中のAI推論コンテナが予期せず破損したりする致命的な原因となります。
- 1回線につき1ノードの原則:1つのグローバルIPアドレス(ルーター)に対して稼働させるノードは1台に限定します。同一のネットワーク配下で複数台のPCを立ち上げようとすると、外部から届くポート「31400〜31409」のパケットを、2台の異なるPC宛に同時に転送(ポートフォワーディング)することができないため、結果としてすべてのノードでポート疎通エラー(ポート開放の失敗)が起きてしまいます。
8. 自動更新が来ない問題と、安全な手動アップデート
0.6.x系が正式に公開されてからすでに数週間が経過していますが、未だに手元のダッシュボードに自動アップデート(OTA)の通知が届かず、古いバージョンのまま稼働を続けているノードが多く見られます。これは、公式サイトの配信ルートとGitHub側のリリース管理が異なっており、公式側のウェブ情報の更新にズレが生じていることが主な要因です。
手動アップデートの実行手順
- プログラムの入手先を選ぶ:現在公式サイトでダウンロードできる0.6.0で問題なければ公式サイトから。より安定性が向上した最新の0.6.1環境にアップグレードしたい場合は、公式のGitHubリポジトリ(pi-node/pi-node)のReleasesページから直接ファイルをダウンロードします。 公式サイトはこちら https://minepi.com/pi-node/
- ブラウザ側の警告の回避:ダウンロード時に警告が出た場合は、履歴メニュー等から「保持する」を選択しファイルをデスクトップへ保存します。
- Windows SmartScreenへの対応:ダウンロードしたファイルを実行した際、Microsoft Defenderによるセキュリティポップアップが表示された場合は、「詳細情報」をクリックして実行を選択してください。
- インストーラーの上書きプロセス:ファイルを起動すると「古いバージョンのPi Networkが実行されています。終了させます」というメッセージが出るので「OK」をクリックします。これにより手動でアプリを終了させることなく、自動的に上書きインストールが完了します。
- データの安全性:インストーラーは過去の設定や同期データ(Docker上のボリューム)を残したままアプリケーション本体のみをアップデートします。そのため、通常の手順を踏めば過去のブロックデータが失われることはありません。
9. 結論:個人PCが自律分散型ネットワークの一部となる未来
0.6.x系へのアップデートは、私たちのパソコンがただ電力を消費しているだけの機械から、分散型の未来を支える不可欠なピースへと進化させるための試みです。
これまでノードの役割は、ただ「ブロックチェーンの正しさを検証し、同期を維持すること」に限定されていました。しかし、SoloHostの展開とローカルAIモデルを実行可能にするプラットフォームの登場により、あなたのPCは「①チェーンを同期し、②スマートコントラクトの窓口(Soroban RPC)を開放し、③AIの推論をローカル処理する」という、三重の役割を持つ多機能インフラへとその定義を書き換えられました。個人が眠らせている計算能力を持ち寄り、巨大なクラウドに依存せずに分散型のAIサービスを可能にする試みは、Web3が目指してきたビジョンの中でも極めて挑戦的で、実用性の高い実装例と言えます。
公式の一次情報にアクセスし、コミュニティの知見を適切に取り入れながら、ご自身のPC環境を最適化していくプロセスそのものが、巨大な中央集権企業にデータやプライバシーを委ねずに生きるための、Web3時代における最も貴重な知見となるはずです。ご自身のハードウェアが秘める新たな可能性を信じ、自律型インフラの一部として、未来のネットワーク構築に加わってみてはいかがでしょうか。まずは、ご自身のノードPCのダッシュボードを開き、現行のバージョン番号を自分の目で確かめることから始めてみてください。お楽しみは、ここからです。
参考・出典一覧(すべて一次ソース)
- Pi Network 公式ブログ「Pi2Day 2026: Advancing Utility and External Access Through Compute, AI, and Identity」(2026年6月28日公開)—
minepi.com/blog/pi2day2026/ - Pi Network 公式ブログ「Pi Testnet RPC Server Released」(2026年4月8日公開)—
minepi.com/blog/rpc-server/ - Pi Network 公式「Pi Node」ページ(プロトコルv25アップグレード告知、表記バージョン検証)—
minepi.com/pi-node/ - pi-node 公式GitHub Releasesリポジトリ(0.6.0 = 2026/6/29、0.6.1 = 2026/7/8)—
github.com/pi-node/pi-node/releases - Docker 公式ドキュメント「Get started with DMR」(Docker Settings 内の AI タブ仕様、CLI手順)—
docs.docker.com/ai/model-runner/get-started/ - Stellar 公式ドキュメント「RPC Admin Guide / Prerequisites」(4〜8vCPU、16GB RAM、350GB(3,000 IOPS以上)SSD必須要件、直近7日データ保持、1日あたり最大+40GB増加目安)—
developers.stellar.org/docs/data/apis/rpc/admin-guide/prerequisites - Nous Research「Hermes Agent」公式GitHubリポジトリおよびドキュメント(2026年2月公開、MITライセンス)—
github.com/NousResearch/Hermes-Agent
【免責事項】本記事は2026年7月12日現在公開されている技術資料や一次情報に基づいて執筆されています。SoloHostおよびそれに付随するAIアプリ(Hermes等)は公式に「早期ベータ(Early Beta)」と明記されており、システム仕様・ハードウェア要件・画面仕様等は予告なく大きく変更される可能性があります。SoloHostは事前審査のないパーミッションレス(許可不要)な分散型プラットフォームであるため、各アプリケーションの実行はご自身の責任において検証と安全確認を行ってください。本記事内のシステムスペックに関する推奨表は、開発元の要件から論理的に割り出した目安であり、特定の動作環境を完全に保証するものではありません。
【更新履歴】2026年7月12日:初版公開(Pi Node 0.6.1、Docker Desktop 4.81.0系仕様、Stellar RPC最新版要件に基づいて徹底検証)


コメント