本日、Pi Networkから新しいプロトコルアップグレードに関する案内が届きました。7月22日(水)に予定されているProtocol v25です。「プロトコルv25」と聞くと身構えてしまうかもしれませんが、今回の内容は、私たちが普段のデジタル生活でうっすら感じている「あるモヤモヤ」に、技術で答えようとするものです。
公式ブログより要約

たとえば、私たちは何かのサービスを使うたびに、氏名や生年月日といった個人情報を差し出すのが当たり前になっています。しかし、たとえば「20歳以上である」ことを確かめてもらうのに、本当に生年月日そのものを見せる必要があるのでしょうか。「必要な事実だけを証明し、余計な情報は一切明かさない」——この一見矛盾したような発想を、ブロックチェーンの技術で実現しようとするのが、今回発表されたProtocol v25なのです。
この記事では、まだアップグレードの内容をご存じない方でも核心をつかめるように、v25が何を変えるのかを順を追って整理していきます。話の中心となる「ゼロ知識証明」という考え方から、それを支える技術部品、そして毎日触れるマイニングアプリの刷新やウォレットまわりの変更点まで、ひとつずつ読み解いていきましょう。
Protocol v25とは — 7月22日のアップグレードで何が変わるのか
まず全体像です。今回のv25アップグレードには、大きく2つの狙いがあります。ひとつはネットワークの安定性と信頼性の向上。もうひとつが、効率的でプライバシーを保護できるスマートコントラクト(自動で契約を実行する仕組み)のための新しい機能の追加です。ネットワークを支えるノードの運用者は、接続を維持するために順次v25へのアップグレードが求められており、その先にはさらに次のv26も控えています。
- 今回発表された内容は、技術(プロトコル)だけにとどまりません。日々使うアプリの見た目や、ウォレット作成の入り口にも手が入っています。まずは全体を俯瞰しておきましょう。
| 領域 | 主な変更点 | 利用者にとっての意味 |
|---|---|---|
| プロトコル(v25) | ネットワークの安定性向上/プライバシー保護型スマートコントラクトの基盤追加 | 個人情報を守りながら本人確認や資格証明ができるアプリが生まれやすくなる |
| マイニングアプリ | サイドメニューとプロフィール画面の刷新、ダークモードの追加 | 主要機能やエコシステム情報を見つけやすく、目にも優しく |
| ウォレット・本人確認 | Fast Track KYCでアプリ内ウォレット作成に対応、BanxaをアプリUIの作成手段から整理 | ウォレット作成の導線がシンプルに(Banxaは第三者サービスとして継続利用可) |
プライバシーを守りながら「証明」する — ゼロ知識証明という考え方
v25の心臓部にあたるのが、ゼロ知識証明と呼ばれる技術です。名前だけを見ると難解に聞こえますが、その発想はとてもシンプルです。ひとことで言えば、「ある主張が正しいことだけを、その根拠となる情報を明かさずに相手に納得させる」方法のことを指します。
先ほどの年齢確認を思い出してください。お店の入り口で「20歳以上ですか」と尋ねられたとき、身分証を丸ごと見せれば、生年月日はもちろん、住所や証明書番号まで相手に伝わってしまいます。もし「20歳以上である」という事実“だけ”を、生年月日を一切見せずに証明できたら——必要な確認は済ませつつ、余計な個人情報は自分の手元に残せます。ゼロ知識証明が実現しようとしているのは、まさにこうした世界です。
証明はする。しかし、明かさない。この二つを同時に成り立たせることが、ゼロ知識証明の目指す地点です。
あなたがふだん利用しているサービスのうち、どれだけが「本来は渡す必要のなかった情報」まで求めてきたでしょうか。v25が開こうとしているのは、その前提そのものを問い直す扉だと言えます。
v25を支える2つの部品 — BN254とポセイドンハッシュ
このゼロ知識証明を実際に動かすために、v25では2つの技術的な「部品」が新たに導入されます。それがBN254とポセイドンハッシュです。それぞれの数学的な中身に深入りする必要はありません。役割だけを押さえておきましょう。
- BN254:ゼロ知識証明という精密機械を動かすための、いわば“規格化された基幹部品”(楕円曲線と呼ばれる数学的な仕組み)です。安全性と処理効率のバランスに優れ、多くの先進的なゼロ知識システムで採用されています。
- ポセイドンハッシュ:データを一定の長さの「指紋」に変換する仕組み(ハッシュ関数)の一種で、ゼロ知識証明の内部で高速かつ低コストに計算できるよう特別に設計されている点が特徴です。証明づくりを軽く・速くするための専用工具、とイメージすると分かりやすいでしょう。
この2つが土台に組み込まれることで、開発者は複雑な仕組みを一からつくらずに、プライバシーを守るアプリを構築しやすくなります。v25以前は、こうしたアプリを実現するハードルはずっと高いものでした。
v25で何ができるようになるのか — 本人確認と資格証明
抽象的な技術は、具体的なアプリとして実を結んで初めて価値が伝わります。v25が特に得意とするのが、本人確認(身元の証明)や資格・条件の証明の領域です。
たとえば、あるサービスが「特定の条件を満たした人だけに利用を許可したい」と考えたとします。従来なら、条件の裏づけとなる個人情報を丸ごと提出させる必要がありました。しかしゼロ知識証明を使えば、利用者は「条件を満たしている」という事実だけを提示し、その背後にある詳細な個人情報はアプリ側に渡さずに済みます。プライバシーを守りながら信頼できる確認を行う——この両立こそが、v25が新たに解き放つ可能性です。
v25は突然生まれたわけではない — 2026年アップグレードの流れ
「v25という名前、前にも聞いた気がする」と感じた方もいるかもしれません。その感覚は正しいものです。Pi Networkの2026年のプロトコル更新は、一度きりの出来事ではなく、段階的に積み重ねられてきたロードマップとして進んでいます。
ネットワーク全体の更新に加えて、それを支えるノードは順を追ってアップグレードを重ねており、その延長線上に次のv26が見据えられています。つまり今回の7月22日のアップグレードは、単発のニュースというより、継続的な進化の流れの中にある一つの節目として捉えるのが実態に近い理解です。この視点を持っておくと、今後のアップデート情報にも迷わず向き合えるはずです。
マイニングアプリも新しく — サイドメニュー・プロフィール・ダークモード
技術の話が続きましたが、変わるのは内部だけではありません。多くのパイオニアが毎日触れるマイニングアプリのサイドメニューとプロフィールページのデザインも刷新されました。狙いは、大切な情報とエコシステムの機能を、より見つけやすく・理解しやすく・たどりやすくすることです。
刷新後のサイドメニューでは、視覚的な階層が整理され、メインネット・チェックリスト、マイニング情報、注目のPi Appsといった主要な要素を一か所で把握しやすくなっています。さらに、かねてより要望の多かったダークモードも追加されました。
新しいデザインを確認するには、アプリ左上のハンバーガー(☰)アイコンをタップします。マイニングアプリはPiのエコシステムでもっとも重要な入り口のひとつであり、6,000万人を超えるパイオニアが日々利用しています。だからこそ変更は一度に大きく変えるのではなく、フィードバックを取り入れながら段階的に磨いていく方針が取られています。今回はその最初の一歩であり、あなたの声が次の改善を形づくっていきます。
ウォレット作成の入り口が変わる — Fast Track KYCとBanxa
最後に、ウォレット作成まわりの変更点を正確に押さえておきましょう。Fast Track KYCによって、メインネットウォレットの作成に必要な本人確認を、アプリの体験の中で直接完了できるようになりました。これに伴い、PiはアプリUI上のメインネットウォレット作成手段からBanxaを整理しています。
ここで誤解しやすいのが「Banxaが使えなくなった」という受け止めですが、これは正確ではありません。BanxaはKYB認証済みの第三者サービスとして引き続き位置づけられており、対応地域では従来どおり利用できます。アプリ内のウォレット作成の導線がすっきり整理された、と理解するのが正確です。
まとめ — v25が指し示す方向
今回のアップデートを振り返ると、Pi Networkが3つの層で同時に前進していることが見えてきます。プロトコルではネットワークの安定性を高めつつ、ゼロ知識証明という「見せずに証明する」技術の土台を築きました。アプリ体験ではメニューとプロフィールを刷新し、ダークモードを加えました。そしてウォレット・本人確認では、作成の導線をよりシンプルに整えています。
ノードを運用している方は、ネットワークとの接続を保つために、早めにv25へのアップグレードを済ませておくとよいでしょう。アプリを使っている方は、☰アイコンから新しいメニューを開き、気づいた点をフィードバックとして届けてみてください。あなたの声が、次の改善とv26への歩みを後押しします。
そして何より、v25が本当に面白いのは、「プライバシーと信頼は両立できる」という発想を、具体的な技術として形にし始めた点にあります。ゼロ知識証明は、これからのWeb3を理解するうえで欠かせない鍵になっていくはずです。この記事で得た土台を手がかりに、ぜひ次の一歩として、ゼロ知識証明やスマートコントラクトの世界をもう少し覗いてみてください


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