Pi Networkコミュニティの皆様、そしてPi Networkに関心をお持ちの皆様。本記事では、Pi Core Teamが描くPi Networkの将来像、特に2025年に向けたロードマップと戦略について、最新情報を交えながら詳しく解説していきます。これまでの情報には個人的見解も含まれ、実現したものもあれば、そうでないものもありました。現在のPi Networkが持つ特徴と、Pi Core Teamが進む方向性を一緒に見ていきましょう。
Piブロックチェーンとノードの分散化
Pi Networkの根幹をなすブロックチェーンについて、Pi Core Teamは重要なビジョンを掲げています。それは、個人のパーソナルコンピュータ(PC)でPiのノードを運用できるようにすることです。これにより、ネットワークの分散化と安定性を高めることを目指しています。
ノードの貢献形態は主に2つに分けられます。
- コミュニティノード:一般ユーザーが自身のPCリソースを提供してネットワークに参加。
- スーパーノード:より高性能な処理能力を持ち、ネットワークの中核的な検証作業を担う。
現時点では、スーパーノードの運用はPi Core Teamによって管理されています。一部の情報によれば、ブロックチェーンへの接続にはまだ制限があり、完全なオープンアクセスではないようです。つまり、「オープンネットワーク」への移行後も、初期段階ではPi Core Teamによる一定の管理が行われる可能性があります。
オープンネットワークへの移行:2025年2月20日
Pi Networkの重要なマイルストーンとして、2025年2月20日午前8時(UTC)にオープンネットワーク期間への移行が公式に発表されました。これは、Piエコシステムの外部接続を可能にし、Piトークンが中央集権型取引所(CEX)および分散型取引所(DEX)に上場される道を開くものです。
これにより、企業や開発者はPiトークンを容易に入手し、様々な目的、特にエコシステム内でのサービス提供や機能開発に活用できるようになります。Pi Networkはオープンネットワーク移行の条件として掲げていた目標(KYC済ユーザー1500万人、メインネット移行1000万人、100個のメインネットアプリ)を達成しており、現在1900万人以上のKYC済ユーザー、1014万人のメインネット移行者を抱えています。
Pi Ads機能:開発者と広告主をつなぐ新たな収益モデル
Pi Networkが1年以上前に発表したPi Ads機能が、ついにdApps(分散型アプリケーション)への本格的な統合段階に入りました。これは、Piエコシステムにおける重要な収益化メカニズムとなります。
例えば、旅行アプリ「Pi2Go」のようなdApps開発者は、Pi Ads SDK(ソフトウェア開発キット)を利用して、自身のアプリ内に広告を表示させることができます。ユーザーがこれらの広告を閲覧することで、開発者は報酬としてPiトークンを受け取ります。これは、従来のウェブサイト広告におけるドル建て報酬とは異なり、Piエコシステム内での循環を生み出す仕組みです。
広告主にとっても、Pi Networkの巨大なユーザーベースにリーチできるというメリットがあります。従来の広告プラットフォームと比較して、潜在的に低コストで効果的な広告キャンペーンを実施できる可能性があります。具体的なコスト体系は今後明らかになると思われますが、Piトークンを直接広告費用として利用できる点は、エコシステム内でのPiの循環を促進するでしょう。ただし、現時点では誰でも自由に出稿できるプラットフォームはまだ公開されていないようです。
Pi Network:Web3時代の巨大ソーシャルネットワークへ
Pi Networkは、単なる暗号資産プロジェクトではなく、巨大なWeb3ソーシャルネットワークとしての側面も持っています。現在、アクティブなユーザー(パイオニア)は6000万人を超え、そのうち1900万人以上がKYC(本人確認)を完了しています。
KYCプロセスは、Banxaとの提携により、より迅速かつ比較的低コスト(目安として約5分、約20ドル程度ですが、変動する可能性があります)で完了できるよう改善されました。今後、KYC済ユーザーが増加し、より多くのウォレットがアクティブになれば、ネットワーク内での取引(トランザクション)が増加し、Piの流動性が高まることが期待されます。暗号資産経済学(Cryptonomics)の観点からは、流動性の向上はPiトークンの価値安定または向上につながる可能性があります。
DePINトレンドとの連携:余剰リソースの活用
最近注目されているDePIN(Decentralized Physical Infrastructure Networks:分散型物理インフラネットワーク)というトレンドがあります。これは、個人が持つ未使用のコンピュータリソース(ネットワーク帯域幅、ディスクストレージ容量、CPU処理能力など)を共有し、ネットワーク全体で活用する仕組みです。Pi Networkのノード運用は、まさにこのDePINの概念と合致しています。
ユーザーがノードを運用することで、Pi Networkはグローバルな分散型コンピューティングプラットフォームを構築しようとしています。これは、AIのトレーニングや、より高度な分散型アプリケーションの基盤となる可能性があります。Pi Networkは、DePINという時流に乗ることで、その技術的価値を高めようとしていると言えるでしょう。
価格安定性への挑戦とエコシステム構築
多くの企業にとって、価格変動の激しい暗号資産を決済手段として受け入れることにはためらいがあります。現在のPiトークンの価格は、エコシステムが完全に成熟するまでは、取引所での需要と供給に大きく影響され、変動しやすい状況が続くでしょう。
Pi Core Teamは、この課題に対し、以下の戦略でPiの価値安定化を目指しています。
- ユーティリティ(実用性)の向上: Pi Adsによる広告プラットフォーム提供で、企業がPiを利用する動機付けを行う。
- エコシステム内経済の活性化: ユーザーがPiを取引所で売却するのではなく、Piエコシステム内のサービス(dApps)で利用するよう促す。
- 決済システムの強化: 将来的には、Piにペッグされたステーブルコインや、価格変動を抑えるための仲介システムを導入する可能性も考えられる。
重要なのは、「PiはPiエコシステム内の通貨であり、法定通貨を代替するものではない」という点です。Piは、Pi Network上で構築されるdApps市場で利用されることを主目的としています。
外部連携と将来の展望:流動性向上の鍵
Pi Networkは、エコシステムの利便性と流動性を高めるため、外部サービスとの連携や技術的な機能拡張も視野に入れています。
- 暗号資産カード発行の可能性: Zebec Protocol(ZPTO)のようなプラットフォームと連携し、Piを利用できる物理的または仮想的なデビットカード(Visaなど)を発行する可能性。ただし、これは各国の法規制(例:ベトナムでは2025年に暗号資産の法的枠組み整備予定)に大きく依存します。
- 相互運用性の向上: 将来的にプロトコルをアップグレードし、Stellarネットワークのように他のブロックチェーンとの間で資産を交換できるブリッジ機能やスワップ機能を実装する可能性があります。これにより、ユーザーはUSDCなどの他の暗号資産を、取引所を経由せずに直接Piに交換できるようになり、流動性が大幅に向上する可能性があります。特に、匿名性を求める大口投資家(クジラ)がPi市場に参入しやすくなるかもしれません。
価格に関する現実的な視点
これまで述べてきたPi Core Teamの戦略や技術開発は、主にPiトークンの価値の安定化と持続的な成長を目指すものです。これにより、Piが数百ドル、数千ドルといった急激な価格上昇をすぐに達成できるわけではありません。
そのような飛躍的な価格上昇が起こるとすれば、それはRipple(XRP)やStellar(XLM)で期待されるような、政府機関による採用や法定通貨との並行利用といった、非常に大きな外部要因、あるいはPiエコシステムが完全に成熟し、テストネット段階を脱却してシームレスな利用体験が提供される段階が必要となるでしょう。
結論:Pi Networkの未来への期待と参加方法
Pi Core Teamは、2025年に向けて、Pi Networkを単なる暗号資産プロジェクトから、広告プラットフォーム、DePIN基盤、そして活気あるdAppsエコシステムを持つWeb3ソーシャルネットワークへと進化させる明確なビジョンを持っています。オープンネットワークへの移行は、その大きな一歩となります。
価格の安定化と流動性の向上に重点を置いた戦略は、長期的な視点でのプロジェクトの成長を目指すものです。私たちはPiの将来に期待しつつも、その価値はエコシステムの発展と実用性にかかっていることを理解する必要があります。
本記事では、Piの購入を推奨するものではありません。Pi Networkへの参加は、現在もスマートフォンアプリからの無料マイニングや、PCでのノード運用を通じて行うことができます。今後のPi Networkの発展に注目していきましょう。
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