パイネットワーク2025年パイデー：外部接続性と加盟店機能が開始

PiNetwork

2025.03.15

はじめに

パイネットワーク（Pi Network）が2025年3月14日の「パイデー」に重要な発表を行いました。この記事は3月15日時点の情報に基づいています。この日付は数学定数πの最初の3桁（3.14）にちなんでおり、パイネットワークのブランドと密接に関連しています。今回の発表では、外部接続機能の有効化、KYC認証済みユーザーのアカウント電話番号変更機能、そして加盟店登録とパイショッピングイベントの開始など、複数の新機能が明らかになりました。

パイネットワークとは：背景と開発経緯

パイネットワークは、スマートフォンを使って採掘（マイニング）できる仮想通貨プロジェクトとして知られています。従来の仮想通貨とは異なり、高性能コンピュータを必要とせず、環境に優しいコンセンサスアルゴリズムを採用しています。

これまでパイネットワークは「クローズドメインネット」段階で運用されており、トランザクション（取引）はエコシステム内でのみ可能でした。つまり、パイコインを外部の取引所や他の仮想通貨と交換することはできませんでした。しかし、今回の発表によりこの状況が変わろうとしています。

パイデー2025：画期的なイベント

2025年3月14日のパイデーから3月21日まで開催されるPiFestは、パイネットワークにとって重要なマイルストーンとなります。この期間に「オープンネットワーク」機能が開始され、パイネットワークの外部接続性が初めて有効になります。

このイベントの中心となるのは「パイショッピング」で、いわゆるブラックフライデーのような大型セールイベントに似ていますが、パイコインでの取引に特化しています。加盟店はすでに登録を開始することができ、パイデー当日から実際の取引が始まる予定です。

このイニシアチブは、パイコインを日常の取引に統合することで、採用率と利用価値を高めることを目的としています。

新機能の詳細

外部接続性の実現

「外部接続性」とは、パイネットワークが他のブロックチェーンや決済システムと相互運用できるようになることを意味します。これにより、パイコインと他の仮想通貨や法定通貨との間での変換がより簡単になり、加盟店のリスクが軽減されます。

オープンネットワーク機能により、KYB認証を完了した中央集権型取引所（CEX）やオンランプサービスとの統合が可能になりました。これにより、Piエコシステム内での使用のためにPiを取得する追加の手段が提供され、サードパーティサービスとの連携も強化されています。ただし、KYB認証を受けていないサードパーティサービスやCEXとの取引は、詐欺やフィッシングのリスクがあるため避けるべきです。

この機能は、パイネットワークのエコシステムを大幅に拡張し、ユーザーにより多くの利用選択肢を提供します。

KYC認証ユーザーのための電話番号変更機能

KYC（Know Your Customer）認証を完了したパイオニア（パイネットワークユーザー）は、アカウントに登録されている電話番号を変更できるようになります。この機能を利用するには、本人確認のための「生体認証テスト」（liveness verification test）を完了する必要があります。これにより、KYC申請を提出し承認された本人と同一人物であることが確認されます。

KYC認証はパイネットワークの重要な要素であり、実際の人間が一つのアカウントのみを持つことを確認するためのものです。これにより、不正行為やボットによる操作を防止しています。KYC認証の最終締切日は2025年3月14日の午前8時（UTC）です。まだ認証を完了していないユーザーは、今後のイベントやメインネットへの移行に参加できない可能性があります。

加盟店登録プロセス

パイコインを受け入れたい事業者は、Map of Piを通じて加盟店として登録できます。登録手順は以下の通りです：

Pi Browserからmapofpi.pinet.comにアクセスする
画面左下の「+ Sell」ボタンをタップする
「Seller Registration」セクションで必要な情報（名前、タイプ、詳細、住所、店舗画像など）を入力する
販売状況に応じて「Inactive Seller」または「Test Seller」を選択する
すべての情報を保存する

登録後は、店舗でのPi決済のためにPiウォレットのQRコードを印刷して掲示することができます。

KYB要件

パイネットワークでは、ユーザー向けのKYC認証に加えて、事業者向けのKYB（Know Your Business）認証も導入されています。メインネットブロックチェーン活動への参加、インフラ提供（オンランプ/オフランプ、取引所、ブリッジ、Web3ウォレットソリューションなど）を希望する企業は、KYB認証を完了する必要があります。KYB認証を完了した事業者のみが、個別の非カストディアル型メインネットPiウォレットを作成し、Piエコシステム内で取引を行うことができます。KYB認証済み事業者のリストは公式サイトで確認できます。

戦略的重要性

今回の発表は、パイネットワークの長期的な戦略において重要な一歩です。外部接続性の実現により、パイコインは閉鎖的なエコシステムから脱却し、より広範な仮想通貨エコシステムに統合されます。

これにより、パイコインの流動性と有用性が高まり、価値の安定化にも寄与することが期待されます。また、日常的な取引での利用が増えることで、一般の人々にとっても仮想通貨がより身近なものになるでしょう。

相互運用性の向上は、パイネットワークのユーザーベースを拡大し、エコシステム全体の成長を促進する可能性があります。

各ステークホルダーへのメリット

加盟店にとってのメリット

加盟店としてパイコインを受け入れることで、事業者は新たな顧客層にアクセスできるようになります。仮想通貨に興味を持つ消費者は、パイコインを使用できる店舗やサービスを積極的に利用する傾向があります。

また、ブロックチェーン技術による取引の透明性と安全性も、加盟店にとっての利点です。取引手数料も従来の決済システムと比較して低く抑えられる可能性があります。

ユーザーにとってのメリット

パイネットワークのユーザーは、採掘したパイコインをより多くの場所で使えるようになります。これにより、デジタル資産としての価値だけでなく、実用的な通貨としての価値も高まります。

外部接続性により、パイコインと他の仮想通貨や法定通貨との交換も容易になり、資産管理の柔軟性が向上します。

エコシステム全体へのメリット

パイネットワークのエコシステム全体としては、ユーザー基盤の拡大と取引量の増加が期待されます。これにより、ネットワークの安定性と安全性が向上し、長期的な成長と持続可能性が高まるでしょう。

また、実際の商取引での使用事例が増えることで、規制当局からの認知と理解も深まる可能性があります。

参加方法

加盟店としての登録方法

パイコインを受け入れたい事業者は、前述のMap of Pi登録プロセスを通じてマーチャント登録を開始できます。必要な書類や情報を提出し、審査に通過すると、パイコイン決済システムのセットアップが行われます。

詳細な登録手順は、パイネットワークの公式チャンネルで公開されています。

ユーザーの準備方法

パイネットワークユーザーは、PiFestに向けて以下の準備をしておくことをお勧めします：

KYC認証を完了する（まだの場合）
パイウォレットの設定を確認する
パイショッピングに参加する加盟店の情報を確認する
パイコインの使用計画を立てる

KYC認証の手順

KYC認証を完了するためには、以下の手順を踏む必要があります：

必要なアプリ（Pi Networkアプリ、Pi Browserアプリ）をインストールする
Pi Browserを開き、「Create a new wallet」を選択してPiウォレットを設定する
パスフレーズを安全に保管する
Pi Browserを開き、kyc.piアイコンをタップする
国とID種類（パスポートまたは国民ID）を選択する
IDの鮮明な写真をアップロードする
指示に従って顔認証を完了する
「Submit and Pay」をタップして1 Piの手数料を支払う

審査には数分から数ヶ月かかる場合があります。認証状況はPi NetworkアプリまたはPi Browserアプリで確認できます。

ユーザー数の現実

パイネットワークは約6,000万人のユーザーベースを主張していますが、実際のブロックチェーンデータによると、メインネットウォレットの数は約911万（2025年1月時点で）であり、これは全ユーザーのわずか15%に相当します。また、KYC認証済みユーザーの約51%しかメインネットに移行していないという報告もあります。このギャップはパイネットワークの実際の採用率を理解する上で重要な指標です。