2025年2月21日、仮想通貨取引所バイビット(Bybit)のCEOであるベン・ジョウ氏は、Piネットワークを「詐欺」と非難しました。これは、中国警察が2023年に発表した警告を根拠にしたもので、高齢者をターゲットにした詐欺的行為が指摘されています。
Piネットワーク詐欺疑惑の背景
ジョウ氏は、Piネットワークが「アプリをダウンロードするだけで無料で仮想通貨をマイニングできる」と宣伝し、個人情報の収集や高齢者をターゲットにした詐欺行為が指摘されていると述べました。また、同プロジェクトのリファラルスキームや「トークンロックアップ」モデルが過去のポンジスキームに類似しているとも主張しています。
さらに、ジョウ氏はPiネットワークの透明性の欠如を批判し、「正当なプロジェクトであれば疑惑に対して説明責任を果たすべきだ」と述べています。
翌日に発生した史上最大級のハッキング事件
皮肉にも、ジョウ氏がPiネットワークを非難した翌日の2月22日、バイビットは史上最大規模となるハッキング被害に遭いました。この攻撃では、約401,000ETH(約1.46億ドル相当)が盗まれました。攻撃者はスマートコントラクトロジックを操作し、多署名ウォレットから資金を不正に移動させました。
さらに調査によると、この攻撃は高度なフィッシング技術やソーシャルエンジニアリングを駆使して行われたことが判明しています。攻撃者はユーザーインターフェースを改ざんし、正規のアドレスに見せかけて不正なトランザクションを承認させました。
北朝鮮ハッカー集団「ラザルスグループ」の関与
北朝鮮政府支援のハッカー集団「ラザルスグループ」が関与している可能性が高いとされています。同グループは過去にもPhemexなどへの攻撃で知られています。今回の攻撃では、スマートコントラクトロジックの改ざんやウォレット間の資金移動が行われました。
仮想通貨業界への影響と今後の課題
今回の事件は、仮想通貨業界全体に深刻な影響を及ぼしています。特にブロックチェーン技術のセキュリティや取引所への信頼性が問われています。バイビットは被害額を補填すると発表しましたが、多くのユーザーが資産保護に不安を抱いています。
また、この事件は他のプロジェクトにも波及効果をもたらす可能性があります。例えば、Piネットワークなど新興プロジェクトにはセキュリティ対策や透明性強化が求められるでしょう。
バイビットの対応策
ベン・ジョウ氏は、今回の事件について謝罪し、「全ての出金リクエストが処理され現在通常ペースに戻った」と報告しました。また、新たなセキュリティ対策導入と再発防止に努めると発表しています。
結論
今回の事件は仮想通貨業界全体に多くの教訓を残しました。ユーザー保護とセキュリティ強化が今後ますます重要になるでしょう。また、新興プロジェクトや取引所には透明性と信頼性が求められます。
読者のみなさんも、自身の資産管理には十分注意し、安全な取引環境を選ぶことが大切です。
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